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発音記号と実際の発音

とある英語のカリスマ講師のブログを覗いたところ,CDつきの単語集を奨める件りで,

 waterの発音記号と実際の音とは全く違います。
 他にもいっぱいそういう単語があります。
 localもそう,obviousもそう,ほとんどがそうです。

などと書いてあるので腰を抜かしてしまいました。だったら,辞書なんて使えないじゃないですか。

(自著であるCDつきの単語集の宣伝だから)CDつきの単語集でないと正しい発音が学べない,という誇張気味の主張なんでしょうが,本当に英語の先生なんでしょうか。続けて

 熟語もそうです。a littleもa lot ofも発音記号どおりではありません。

とあって,a littleが熟語か?という突っ込みはともかく,確かにa lot ofなどリエゾンが起こっているものはリエゾンの発音を示した方が親切だと思います(リエゾンせずに「ア・ロット・オブ」なんて読んでしまう人が少なくないから)けど,a,ofの弱形にlotの発音をつなげればちゃんとしたa lot ofの発音になるので,発音記号通りではない,というのはちょっと言いすぎでしょう。

発音には個人差や地域差があるので,辞書には最大公約数的,標準的なものが示される訳ですが,学生が発音を学ぶにはそれで十分です。もちろん,まず発音記号が表す音をきちんと学習してからでないと,知らない単語の発音記号を見てもその単語の発音は学習できませんけどね。それとも,辞書の話ではなく単語集だけの話で,発音記号の誤りが多い単語集が多い,という話でしょうか。確かに「英語発音コツのコツ」みたいにミスプリだらけの本もありますが,特に単語集に限った話題でもなさそう。

で,もしも辞書や単語集の発音記号が表す音と,実際の発音が違っていたら,音を表す指標として全く役に立っていないということになります。本当に違っているなら,記号の方を変えるしかありません。

確かにそういう例もあるにはあって,例えば,lawという単語の発音,母音は逆さのcに長音符(:)をつけてあって,国内の辞書だと米英で違いがないことになっているのが普通ですが,

 http://dictionary.cambridge.org/dictionary/british/law_1?q=law

で,UK音とUS音を比べると明らかに違いますし,この辞書では異なる発音記号を当てています。この辺り,最近の米音の変化に国内の辞書がついていけていない例でしょうが,カリスマ講師のブログはこういった英米の違いに言及したものではなさそう。

同じ単語でも,辞書によってあいまい母音があったりなかったりするケースはあります。例に挙がったlocalのaにあいまい母音を当てた辞書もあれば,あいまい母音にカッコをつけて省略されることもあるとした辞書もあれば,子音のlはそれだけで音節を構成できるという立場から母音を当てていない辞書もあります。が,辞書による,あいまい母音の表記の違い程度では誤差の範囲であり,「発音記号が実際の発音と違う」という主張にはつながらないでしょう。英語の先生が,辞書によって発音記号の表記が微妙に異なることを知らないはずがないですし。

そうなると,可能性として考えられるのは,カリスマ講師が発音記号を見て自分で発音する音,あるいは,頭の中でイメージする音が,ネイティブの発音と違う,という意味だけです。発音記号が表す音を誤解していたら,そりゃあ発音記号が実際の発音と違う,という感想になるでしょう。

してみると,このカリスマ講師,単に発音記号が表す音をちゃんと理解していない,つまり,発音記号がそもそも読めてないだけなんじゃ…?と思って,ブログにある動画で発音を聞いてみると…(以下略)。

そうそう,例えばgoo辞書の英和辞書で,water,local,obviousを引いて発音を聞くと,どれもそこに示された発音記号通りにちゃんと読まれてます。そりゃそうですよね。

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